憧れの田舎暮らしを思い描くとき、皆様の頭の中にはどのような風景が広がっているでしょうか。都会では手に入らない広々とした庭、そこで楽しむバーベキュー、あるいは季節の花々を育てるガーデニングなど、夢は尽きないことだと思います。
私たち千葉県房総エリアの地域密着型不動産会社「東栄建設株式会社」にも、「せっかく房総に移住するなら、隣の家と離れた広い土地が欲しい」というご相談を数多くいただきます。
しかし、不動産を紹介する者として、そして地元で暮らす身として、購入前にどうしてもお伝えしておかなければならない現実があります。それは、雑草対策です。
「たかが草でしょう?」と甘く見てはいけません。特に温暖で雨が多いここ千葉県房総エリアは、植物にとって育ちやすいよい環境です。少しでも管理を怠れば、あっという間に多くの雑草に覆われてしまいます。
夢のマイホームが「こんなはずじゃなかった…」という後悔に変わらないよう、今回は雑草管理の現実的な労力や頻度、そして業者に依頼した場合の費用相場などを詳しくお伝えします。
千葉県房総エリアの雑草を放置すると起こり得るトラブル

千葉県房総エリアの雑草の成長スピードは、都会に住んでいる方の想像を遥かに超えています。例えば、ゴールデンウィークに二拠点生活をしている千葉県房総エリアの家を訪れて綺麗に草を刈ったとします。
しかし、梅雨を経て夏休みに訪れると、たった数ヶ月で大人の背丈ほどまで草が生い茂り、玄関にたどり着くことさえ困難なジャングル状態になっていることもめずらしくありません。特に5月から10月にかけての成長力は凄まじいものがあります。
雑草を放置するリスクは、単に見た目が悪いというだけではありません。最も心配なのが近隣トラブルです。背の高い草は景観を損ねるだけでなく、秋になれば大量の種子や花粉を周囲にまき散らします。
また、管理されていない土地は「誰も見ていない」と思われがちで、ゴミの不法投棄を招く原因にもなります。せっかく移住や二拠点生活をしても、ご近所との関係が悪化してしまっては元も子もありません。
さらに、伸び放題の草むらは害虫や害獣の格好の隠れ家となります。ムカデやハチ、マムシなどが住み着くリスクが高まるだけでなく、千葉県房総エリア特有の問題として「キョン」という小型の鹿やイノシシの出没も挙げられます。

彼らは草むらに身を潜め、大切に育てた家庭菜園の野菜や庭木を食い荒らします。
ご自身だけでなく、近隣の畑にも被害を及ぼす可能性があるため、地域全体として草刈りには敏感になっていることも。
自分で雑草対策をするなら?草刈りの頻度や装備

では、この手強い雑草たちとどのように付き合っていけばよいのでしょうか。まずはご自身で管理する場合についてお伝えします。
綺麗な状態を保つためには最低でも年3回の草刈りが必要です。
1回目は梅雨入り前の6月頃。ここで一度刈っておくことで、雨による爆発的な成長を抑えることができます。
2回目は成長がピークに達する8月から9月頃。最も過酷な時期ですが、ここを逃すと秋まで手がつけられなくなります。
そして3回目は11月から12月頃。冬を迎える前に枯れ草を処理し、翌春に備えます。
この作業をおこなう際、都会の庭いじりのような手鎌(カマ)だけで挑むのは無謀です。100坪を超えるような田舎の土地では、エンジン式、またはパワーのある充電式の「刈払機(かりばらいき)」が必須アイテムとなります。
ホームセンターで数万円で購入できますが、燃料の管理や刃の交換など、ある程度の知識と慣れが必要です。
また、真夏の炎天下での作業は想像以上の重労働です。熱中症のリスクはもちろん、高速で回転する刃による怪我や、小石の跳ね返りによる事故にも十分な注意が必要です。
防護メガネや厚手の手袋、安全靴などの装備を整え、無理のない範囲でおこなうことが大前提となります。
週末だけの滞在で、その貴重な時間をすべて草刈りに費やしてしまうと、「何のために田舎に来たのかわからない」と疲弊してしまう方もいらっしゃいます。ご自身の体力や滞在頻度と相談しながら、無理のない計画を立てることが大切です。
雑草対策を任せるなら「シルバー人材」や「専門業者」

「週末はゆっくり休みたい」「草刈りをするのは体力的にきつい」という場合は、無理せず依頼するのが堅実的な選択です。依頼先は大きく分けて「シルバー人材センター」と「造園業者や草刈り代行業者」の2つがあります。それぞれの特徴と費用感を把握しておきましょう。
シルバー人材センター
できるだけ費用を抑えたい場合に頼りになるのが、各市町村にあるシルバー人材センターです。地元の元気な高齢者の方が作業をおこなってくれるため、費用は比較的安価です。
地域や作業内容にもよりますが、時給計算や坪単価計算などで、1回あたり数千円から1万円台で済む場合もあります。
ただし、あくまで地域貢献の一環という側面があるため、いくつかの制約もあります。例えば、草の繁茂期には予約が殺到して数ヶ月待ちになったり、刈り取った草の処分(持ち帰り)までは対応していなかったりすることが多いです。
また、斜面などの危険な場所や、専門的な技術が必要な木の伐採などは断られるケースもあります。
造園業者や草刈り代行業者
確実に綺麗にしたい場合は、造園業者や草刈り代行業者に依頼することをお勧めします。費用はシルバー人材センターに比べて割高になりますが、その分、仕上がりはよいでしょう。
刈り取った草の処分まですべて任せられることも多く、篠竹(しのだけ)のような硬い植物や、大きくなりすぎた庭木の剪定・伐採も対応してくれることがほとんどです。
費用の目安としては、草の丈や敷地の広さによって変動しますが、例えば100坪程度の平坦地で、草の処分費込みで3万円から5万円程度がひとつの相場と言えるでしょう。
年に3回依頼すれば年間10万円から15万円程度の維持費がかかる計算になります。これを「高い」と感じるか、「快適な時間を買うための必要経費」と捉えるかが、田舎暮らしの資金計画における重要なポイントです。
草刈りから解放されたいなら知っておくべき防草対策

毎回草を刈るのが大変なら、「そもそも草が生えないようにしてしまえばいい」という考え方もあります。初期費用はかかりますが、長い目で見れば最も効率的な投資と言えるのが防草対策です。
最もポピュラーで効果が高いのが「防草シート」と「砂利(砕石)」の組み合わせです。光を遮断する専用のシートを地面に敷き詰め、その上に砂利を厚く敷くことで、雑草の発生を物理的に防ぎます。
砂利の上を歩くと音がするため、防犯対策としても有効です。建物の周りや駐車場など、植栽をしないエリアは、購入後すぐにこの施工をしてしまうことをおすすめします。
また、緑を楽しみたいけれど草むしりはしたくないという方には、「グランドカバー」という方法もあります。芝生やクラピア、クローバーなど、地面を這うように広がる植物を植えることで、他の雑草が生える隙間をなくしてしまう手法です。
一面の緑の絨毯は見た目にも美しく、泥はね防止にもなりますが、植物ですのである程度の水やりや刈り込みといった管理は必要になります。
さらに思い切った方法として、よく使うスペースをコンクリートやアスファルトで舗装してしまう手もあります。
完全にメンテナンスフリーになりますが、照り返しで夏場が暑くなったり、固定資産税の評価に関わったりする場合があるため、施工範囲については専門家と相談することをおすすめします。
物件を選ぶときは管理できる広さか確認しよう

千葉県房総エリアの地域密着型不動産会社としての視点から、物件選びのアドバイスをさせていただきます。
土地を探す際、どうしても広さや価格に目が行きがちですが、管理のしやすさを左右する重要な要素が地形です。
特に注意が必要なのが「法面(のりめん)」と呼ばれる傾斜地が含まれる物件です。図面上では同じ100坪の土地でも、その半分が急な斜面になっている場合、その斜面の草刈りは平地の何倍もの労力と危険を伴います。
足場が悪く機械が使いにくいため、業者に依頼した場合は割増料金になることも。ご自身で管理する自信がない場合は、多少価格が上がっても平坦な土地を選ぶほうが、長い目で見れば安上がりで安心かもしれません。
また、「大は小を兼ねる」という言葉がありますが、田舎の土地に関しては必ずしもそうとは限りません。家庭菜園を楽しみたいとしても、20坪もあれば十分な量の野菜が収穫できます。
週末利用がメインであれば、建物とその周囲を含めて50坪から80坪程度あれば、駐車場と小さなお庭を確保しつつ、半日程度の作業で管理が行き届くちょうどよいサイズと言えるでしょう。
「この広さの土地、本当に自分たちで管理できるかな?」と不安に思われたら、現地を熟知している私たち「東栄建設株式会社」にご相談ください。
メリットもデメリットも包み隠さずお伝えし、お客様にとって最良の田舎暮らしの実現をサポートいたします。
この記事を書いた人

奈良生まれ。2014年10月からフリーランスのライター・編集者。東京で働いていたこともあったが、ゆったりした暮らしをしたくて地方移住。テレビ番組「住人十色」が好き。将来は平屋に住みたい夢がある。





